『神敵』〜アルチェネミ〜
伊集院 灯架
これまでのあらすじ
この世界では文明と科学技術を持つ同じ歴史を歩んできた人類が存在しているが、こちらの世界とは根本的に異なっている部分が一箇所だけ存在する。
それは魔術が科学的に証明不可能のまま新たな学問として存在し続けているという事である。
その発端は中世ヨーロッパで行われたファウスト博士の悪魔召喚実験の失敗からであり、この失敗によるファウスト博士の不可解な死からこれまでの魔術理論に違和感を受けたファウスト博士の弟子が後の宗教学と考古学の研究の末に『悪魔は存在せず魔術とは神の創造したこの世界に人の手で干渉できる技術である』という考えに至り新たな魔術の道を切り開いた。それは悪魔や天使の召喚を中心とせず人間の血流から生じる生命のエネルギー、魔導波の力を魔法陣により物理的な力に変え万物を操るというものであった。
新たな魔術の万能性に魅せられた様々な分野の研究者がその道へと歩み始めたが、宗教上の理由から様々な国で迫害に遭うたびに研究者達は世界中を逃げ回り続け秘密裏に研究を繰り返し、最終的に大東亜戦争(太平洋戦争のこと)後に神への信仰心が薄くなった日本で研究者達はようやく本格的な研究を国家公認で行えるようになった。
そしてその国家公認の研究施設及び教育機関こそが魔術の研究開発校・『赤星魔術学園』である。
この学園は生徒を魔術と科学の知識を持つというだけで止まらせず、それらの知識を用いた新たな技術の開発及び新たな法則の発見を可能とする人材へと小中高一貫の特殊な教育法で育てあげ、この学園の大学でより専門的な知識を学習させる事で様々な技術部門でも発展できるように生徒を導く画期的な研究開発学校であり、同時に魔術法則の研究と新たな魔法陣の開発を行う研究機関でもある。
しかしその研究に要するであろう機械設備の導入や魔術の製品、魔導具を使用する際に想定しなければならない様々な環境の再現と魔導具の使用実験は並みの研究所一つでは不可能なほど広大な敷地を必要とする。
そしていかなる災害にも福島原発の事故のような惨事を引き起こさないよう最大限の対策を行わなくてはならず、それでいて生徒への給食の配給から交通の便、さらに情報の漏洩のことまで考慮しなければならなくなった結果としてそれらの条件に適した千葉県の山奥を切り開いてそこに建設する事になった。
その学園に在校する学力ゼロの高校生・赤羽裕介は、学園一の魔術師にして問題児の同級生・小野寺竜也と共に古い学生寮の一室で教師の手によって監禁されていた。
一方学年主席の中学生・伊坂涼子は学園の周囲で突如発生した魔術の『暴走』の被害を受けた第一校舎から脱出する。
そして暴走を起こさせた犯人達はゆっくりと自分達の計画を実行していく。
では、本編をどうぞ。
学園に襲い掛かった瓦礫を打ち落として自分の身を守った伊坂涼子は、自分よりも二歳年上でありながら在校暦では二年短い高校一年生の後輩$ヤ羽裕介の身を案じて、校舎の北にある(らしい)古びた学生寮に向かって森の中を走っていた。
実のところ彼女はこれまで一度も校則違反したことが無いので、校則違反した生徒が送り込まれる反省寮には立ち寄ったことがなく、しかもその場所さえ先生から聞いたことが無かった。
しかし少年を放って置いて学園を去るわけにはいかないと思い、いくつかの分かれ道などで立ち止まっては曖昧な勘を頼りに道を選んでひたすら走り続けていた。
もっともそれが先輩としての責任感なのか否かは、自分でもよくわかっていないようだが。
「もぅ何だってこうも道が複雑なの? そもそも何で学園がこうも広いのよ?」
さすがに走り続け疲れてきたのか白い肌に汗を浮かばせ肩を上下させて両手を膝に当てると、そのまま膝を曲げて地面にしゃがみこんだ。
ちなみに今の外見は服装が被害に遭うまでに着ていたジャージのままで、コンタクトレンズは外しビン底メガネをかけ直して長いブロンドの髪をゴムで束ねている地味な格好である。
「この校舎の北の森には暴走の被害が少ないみたいだからよかったけど、あいつが大丈夫なのか知りたくても道が多すぎてどっちに行けばいいのかまるでわからないよぉ」
弱気になってきたのか地面に転がっている石をしばらく指で転がしていると、彼女の体を影が覆いかぶさった。
「あら、こんなところで何をしているの?」
「ふぇ?!」
驚いて彼女は後ろを振り返ると、そこには伊坂が女の子でありながら目を奪われてしまうほどに妖艶な女性が立っていた。
その女性はまるで女性が求める誘惑する美しさを全て手に入れた女悪魔の彫刻が命を得て目の前に立っているのではないかと思わせるほどに人間離れした魅惑的な美貌を持っていた。その肢体には一切の無駄な脂肪や筋肉が無く、ただ単に脂肪や筋肉のつき加減では変えようの無い骨格そのものから体形や姿勢に歪みを感じさせない骨格美というものを整体などの美容には素人である伊坂にさえ理解出来てしまうほどに美しく整っており、それでいて整形した者が悩まされる筋肉の不自然で微妙な動きのような不自然さをまったく感じさせない全てにおいて完璧な美を持ち合わせていた。
そして女性は長くウェーブのかかった黒髪を風になびかせ、健康的な白い肌に汗一つも浮かばせずにモデルのような動きで歩き寄って微笑みながら伊坂を黒真珠のような瞳で見つめていた。
「そんなに汗をかいて大丈夫なの? 私の飲んでもいいわよ」
そう言ってその女性が手持ちの白い手さげバッグからペットボトルを取り出そうとしているのを見て伊坂は、はっ、と彼女に見とれていた事に気がつき慌てて返事をした。
「い、いえボクはいいです! まだ喉渇いてないですし」
それがかえって不安にさせたらしくその女性は困ったように長いまつ毛を持つ目を伏せてこう言った。
「あら、そうなの?でも喉が渇いてからじゃ体によくないわよ、真夏の昼過ぎに喉が渇いて水を飲もうとした人が気づかないうちに熱中症で倒れちゃう、なんてことはよくある話じゃない」
「あの、お気持ちは嬉しいですけれどボクは大丈夫です!」
なんだかおばあちゃんみたいな話し方をするなあ、と伊坂が思っている間にその女性は何かに思い当たったのか伊坂に訊ねた。
「ところで、あなたはもしかして肩幅の大きい大柄の先生を追いかけてきたの?」
「あ、はい。大森先生に連れて行かれた友達に用事があったのでこの道を走っていたんですけど、途中で道がわからなくなって……」
そこまで聞いてようやく伊坂の状況を理解し、思い当たったその事柄を伊坂に伝えた。
「あら、だったらさっきワタシとすれ違ったわよ?」
「え、どの道ですか?」
そう言われてその女性は伊坂から見て右側の道を指差した。
「あっちの道よ。何か爆発があったみたいだから気をつけてね」
「ありがとうございます」
そうお礼を言って真っ先に伊坂は走って行こうとして、数歩歩いたところで足を止めてその女性に振り返った。
「あ、あの、お名前は」
「黒森星奈よ。あなたは?」
「伊坂涼子です」
「りょうこちゃん、ね。また会いましょう」
「ええ、また!」
今日は外からの見学者が来る予定だっただろうかと心の中では首をかしげていたが、それを今聞くほど余裕の無かった伊坂は黒森星奈と名乗った女性に手を振り、その女性に背を向けて急ぎ足で言われた道を走ろうと足を運んだ。
◆ ◆ ◆
「あらよっ」
ちょうどその頃、心配されている当の本人である赤髪パーマの高校生、赤羽裕介は自分のいた反省寮三階の寮室の窓から飛び降りていた。
そう書くと自殺のようにも読めてしまうが文字通り窓から飛び降りているから他に描写の仕様が無い。実際同じ部屋に閉じ込められていた人物も同じことを考えたのである。
「は?あなた正気ですか!?(自殺する気かコイツ!?)」
友人の小野寺はその後を追うように慌てて窓から頭を出して叫んだ。
いくら小野寺が魔導具開発の優等生であっても自分で建物から飛び降りた人間を無事に助ける魔導具など作れはしないし、青いネコ型ロボットのように四次元からポケットを通じて無限に不思議な道具を取り出したりできるわけではない。
それに二階から飛び降りるならともかくそれよりも高い位置から飛び降りた場合、いかに上手く衝撃を殺して着地できても足の骨にひびが入ることは間違いないだろう。最悪の場合、頭から落ちて首の骨がポッキリと折れそのままご臨終なんてことにもなりかねない。
にもかかわらず、
「いぃぃぃぃぃやっほう!」
赤羽は空中でその体を前かがみに体を丸めて回転させながらボールのように落下していき、地面が近づくのに合わせ片足を地面に向けてまっすぐに伸ばして地面に着地しようとしていたのだ。
そしてとうとう片足を地面に向けて伸ばしきり足の爪先と地面の間に軽く触れるか触れないかのわずかな隙間しか残らなくなった。しかしそのような状況にもかかわらず赤羽はその全身に風を感じながら普段のやる気の無い目を爛々と輝かせていたのである。まるで初めての物事に挑戦しようと楽しむ子供のように。
ついに赤羽の足が地面に着いて、間違いなく怪我をするだろうと小野寺が直感した瞬間。まさにその時に一瞬だけ、地面の砂に波紋のような文様が浮かんだのに小野寺は気がついた。
その一瞬が過ぎ去るのと同時に赤羽の爪先を中心に地面が爆発して土埃を舞わせ、少しだけ土埃が起こす風で赤羽は宙を舞うと何事もなかったかのように地面に足をつけた。
しばらく呆然と赤羽のその所業を見届けた小野寺を無視して赤羽はその着地した感覚を全身で感じ続け、やがて溜め込んだ感動を吐き出すように叫んだ。
「……ぃよっし実験成功! これでいざって時に怪我をしないで地面に降りられるぜ。でも思った以上にすんなりといかなかったなぁ」
そう赤羽が両腕を空に伸ばして爽やかに言ったのを聞いた小野寺は、額に手を当てて呟いた。
「……何でもありなんですかその力(なんかもう突っ込む気もねェな)」
小野寺は窓の外から聞こえる赤羽の名前を呼ぶ声を聞き流して窓から背を向け、そばの椅子にゆっくりと腰をかけるとドアから安全に出る為に折り紙と黒ペンをジーパンや服のポケットから全部取り出して新しく魔導具を作ることにした。
◆ ◆ ◆
学園の校舎から息が切れ切れになるまで走ってきた伊坂は古びた洋館のようになっている反省寮の前で、風に舞い続ける土埃に囲まれている少年を見つけると肩を上下させて立ち止まり息を整えてから右手を振って少年の名前を呼んだ。
「赤羽君! 大丈夫?」
それを聞いた少年、赤羽は声の聞こえた方に振り向いて返事した。
「おっ、伊坂か。どうしたんだよこんなとこまで?」
「どうしたもこうしたもここにいたら命が危ないでしょ! 早くこの学園から逃げようよ」
「逃げるって、何でだよ?」
「え?」
その少年の一言に絶句した伊坂はしばらく何も言えず口をパクパクと動かして、何とか説得しようとしたが何故かいつものように喉から声を出せなかった。
それほどまでに慌てている伊坂を見て何を思ったのか、笑顔を浮かべて少年はこう言った。
「こんなにも面白そうな事がいくつも起きているんだぜ? せっかくの非日常なんだから少しは楽しめよ」
伊坂は少年の言ったことがまったく理解できずに目をぱちくりと瞬きさせ少年を見つめ、心の中で男の子は皆こういうものなのだろうかと思うと諦めたようにため息をつき頭を俯かせて首を横に振った。
「……もうわかったよ、勝手にしてよ。ボクは先に逃げるから」
そう言って伊坂は少年から背を向けて去ろうとし、
「お前がそれでいいのなら別にいいけどよ、ここにはお前の友達や先輩がまだ残っているんじゃないのか?」
その一言に前に伸ばそうとした足を止めた。
「お前がお前の大事なものを守ろうとしないでここから逃げだして、その後に学園に戻ったらそいつらがいつもどおりに笑顔で迎えてくれる。そんな面白い事を本気で思ってんじゃないよな?」
少年の声で自分の心に引っかかるものを自覚した伊坂は少年に振り向こうとするが、校舎の窓から見た暴走の惨劇を思い出し振り向かずに目をつぶって言い返した。
「何を言っているの? ボクが生きてなかったら同じ事じゃない!」
それを聞いた少年は何に驚いたのかしばらく黙ってしまったが、首を横に振ると伊坂に向かって少しだけ歩きよって話しかけた。
「でもよ、それってそいつらが死んだらお前が生きていようがそうじゃなかろうが同じ事だろ?」
「わけわかんないよ……自分が生きて帰って来られなかったら助けに行こうが行かまいが何しても同じだよ!」
少年はなお伊坂に近寄って話しかけた。
「じゃあお前の大事な友達がお前を助けようって思って学園中を探し回っていたとしたら、それで結局お前を見つけられなくて死んじまったら、お前はそれを無駄死にだって言うのかよ?」
伊坂はその言葉にとっさにふざけているのではないのかと思い込み、怒りを感じて長い自分の金髪を振り乱して今度こそ振り返り少年に何かを言おうとしたが、少年の表情を見て思わず言葉を失った。
なぜなら少年はいつものような目と眉が離れている全然やる気の無い目つきではなく真剣な眼差しでまっすぐに少女を見つめていたからだ。まるで、少女の思っていることを全て見通しているかのように。
「さっきから自分は生きたいとか生きるために他人を見捨てていいとか馬鹿なことを言ってんじゃねえよ。自分が可愛いならとっとと尻尾巻いて逃げろよ。本当に友達を助けたいと思っているなら、まずは校舎に残って瓦礫に埋もれたかもしれない友達を助けに行けよ!」
そう言うと少年は伊坂に手を差し伸べた。
「それを決められないならお前は自分が気に入ったモンだけを拾って他はどうなってもいいって思っているわがままなガキと何も変わらねぇ。それにお前は何の為にこんなド田舎で魔術なんてファンタジーを勉強してきたんだよ。権力だの金だのの力に頼らないで自分達の力で誰でも助けられる奴に憧れてここにいるんじゃなかったのかよ?」
そこまで言われて伊坂は何になりたくてこの学園に入ったのかを思い出すと、気がつかないうちに涙で頬が濡れていることに気がつき慌てて涙を拭こうとして、ポケットに手を入れたところであることに気がついた。
いつもポケットに入れていた緑色のハンカチが無い。
「あ、あれ? おかしいな、ハンカチがないよ? あれぇ?」
慌てて伊坂はどこか恥ずかしそうにジャージのポケットの中を探し始めると、少年は自分のジーンズのポケットから何かを取り出した。
「そのハンカチって、ひょっとしてこれか?」
そう言って少年の右手を伊坂が見ると、そこには自分が大切にしていた緑色のハンカチがあった。
「え、うそ、なんで?」
「なんでもなにも、今朝俺と一緒に寮の窓から落ちた時にハンカチをポケットから落としてたんだよ。その後お前が急に走ってどっか行ったりするから今の今まで渡せなかったんだっつの」
「ご、ゴメンね」
なぜかつい謝ってしまった伊坂は少年の手からハンカチを持って顔を隠すように涙を拭くと、少年がまた伊坂に話しかけた。
「まあ何かに憧れてここに来ていようが来ていまいが、この状況で動こうとしない野郎は頭どころか魂の腐ったただの馬鹿だけどな」
それを聞いて思わず吹き出して笑いながら、ハンカチを左手に持ち右手で少年の手を握った。
「それをキミに言われたら誰だってお終いだね。わかった、二人で一緒に助けようよ」
「そうだな、出来るだけやるか。そういや俺の宿題とか出席は大丈夫なのかよ? 先生とも全然連絡つかないし」
「あははっ、それは先生も助けた後で一緒に考えようよ。今それを気にするなんてキミらしくないなぁ」
「それって俺が学校に出る気も無い馬鹿って言いたいのかよ? ったく、さすがに俺も少しパニクってきちまったのか? ああ、そういえばこの間のことだけどよ……」
二人は横に並んでゆっくりと歩きながら学園の校舎へと向かった。
いつかこの学園から出て、けっして後悔することが無いように。
◆ ◆ ◆
ちなみに、反省寮に取り残された小野寺はせっせと魔法陣を描いた折り紙を折りながら新しく魔導具を作り続けていた。
折り紙の折り目に目つきを険しくして細部まで目を通し、折ったときに出来る一ミリのずれの違いも予想して見極め真剣に折り合わせるその姿は魔術師エンジニアの魔術へのあるべき姿勢を無言で語っていた。
ひたすら優れた物を、より使いやすくより性能の良い物を造ろう。
そう思い続けて魔導具を造るそのあり様は、この学園の誇る天才魔術師が何ゆえに天才と呼ばれるまでに成長したのかを暗に照明していた。
唯一つ、魔導具を向けるモノに対する考え方だけを除けば。
実のところどうやって自分を置いて先に学園の校舎に歩いていったあの少年をこのどさくさに紛れて半殺しにしてやろうか、ついでにどうやってこれまでの恨みを先公共に返済させてやろうかなどとえげつない事を考えてはいたものの、さすがに自分の身も案じて学園から脱出し自衛隊を呼ぶことも考えてはいた。
「政府やマスコミに悟られず内密に解決するよう学園側は学園中の資産を使いつぶしてでも動こうとするでしょうから外部への連絡網はおそらく使えない。最低でも学園で預けられた私の携帯電話の回収はしなければならなくなるでしょうねぇ。いつもだったら携帯電話の使用許可証が欲しいところですがそんなものの許可を待つ暇は無いでしょうから携帯電話を押収するか、それとも学園の外まで出て何キロも離れた公衆電話を使うしかないですね」
そう独り言をしゃべりながら彼は短剣の形に折った折り紙を接着剤もなしにくっつけ合わせ、さらにその上に新しく魔法陣を描いていく。
「そうなると今度は先生達を半殺しにしてでも携帯電話を回収するか、学園から猛ダッシュで公衆電話のある場所まで移動できるアイテムでも造るしかない。……ああ面倒ですね(なんでンなことになっちまったンだか)」
笑顔で選択肢に教師への暴行も含めて言っていることに関しての人間性の良し悪しはともかく、両親を交通事故で亡くし身寄りがなくなった小野寺にとってこの学園は実家に近いほどの愛着のある居場所である。
それゆえに唯一の居場所である学園そのものは大切にしようとするのだがそれ以外のものに対しては、どんな状況下でも目的を達成する為にいかなる手段・方法を使おうともその行動にどのようなリスクや危険性があろうとも、遠慮も容赦もなく無慈悲にぞんざいに扱ってしまうくせがある。
そのため魔導具を用いた決闘などでは必ず相手が肉体的にも精神的にも反撃する力がなくなるまでひたすら致命傷を与えない程度に圧倒的な力を発揮する魔導具を手加減して繰り返し使い続け、魔導具を破壊されても新しい魔導具を取り出し相手に終わらない絶望感を与えようとすることで自分の優越感を満たそうとすることが多く、それが原因で登校拒否どころか自殺未遂させるまで精神を病ませてしまうだけでなく学園から重体の患者を出してしまったことなどが小野寺には自分自身の手足の指や髪の毛の数を全て数えても足りないほどある。
そのため彼は自分の目的のために人間を半死半生にまで追い込む事に何の罪悪感も持っていないのである。
「まずはどうにかして赤羽君の魔術にも対抗しうる強力な魔導具を作ったほうが先生達を倒すのに一番手っ取り早そうですね。少なくとも彼以上にこの私と戦い合えた魔術師は先生や生徒の中にはいないわけですし(まあ、アイツを倒せるのは俺くらいだろ)」
そうあっさりと自分がその赤羽に負け続けている事を棚に上げて断言すると、楽しそうに鼻歌を歌いながら一度くっつけ合わせ魔法陣を描き込んだ短剣の折り紙をさらにブロックのようにくっつけ合わせて扇のような形状に組み上げていく。
「しかし、本当に一体彼が考え出した魔法陣はどんな構造になっているんでしょうかね。少なくとも魔導具らしい魔導具は持っていないようですし、かといって私以上に魔術の知識を持っているわけじゃないし成績は学園で最下位、しかもただの運動馬鹿……あれ、なんで私はあんな無知無能の塊みたいな奴に負けたんですかね? (何だかイライラしてきちまったぞオイ)」
どうやらこの小野寺という少年は実のところ赤羽と戦い勝つことにしか興味が無いようだ。自分の命は二の次らしい。
しかもその紳士的な口ぶりからは連想できないほどのプライドの高い負けず嫌いらしく、その証拠に自分でも気がつかないほどに折り紙を掴む指に今にも折り紙を引き千切りかねないほどの力が入っていた。
さすがにそんな取り乱している自分に自分でも呆れてきたのか、ため息を吐いて再び呟いた。
「まったく、なんだって私はこうも負けず嫌いなのでしょうかね? 入試試験の実技部門で一度打ち負かされたからといってここまで執拗に……やっぱ納得いかねェぞこれ!」
急激で極端な感情の昂ぶりと共に折り紙を折る早さもその折り紙を組み立てる早さも上がっていき、だんだんただの扇の折り紙から鳥の羽の様な宗教的な形状へと変わっていく。
「なんだッて必須科目の数学・英語・国語の合計点が五十点台でしかも基礎的なトコしか出来なくてそれ以外の教科の合計点が一ケタ程度しかない馬鹿に天才の俺が惨敗するンだよ!? 魔導具隠して持ってたやつも含めて持っているのを全部使ったのにそれを全部無効化だの弱体化だの粉々に壊すだのどこまでもどこまでもファンタジーな力を使いまくって、しかも俺をパンチ一発で殴り飛ばしてKOたァどこまで人間離れしてんだよ!」
怒りに満ちてそのまま何かを全身から吹き出してしまうのではないかと思わせるほどの鬼気迫った形相で、今度は鳥の羽のようになった折り紙とは言えない何かを互いにくっつけ合わせ六枚の天使の翼のような魔導具を作り出した。
「あれだけ何年間もひたすら頑張ってきたっていうのにパンチ一発で全部お釈迦ってどういうことだッつーの! 何だよテメェは魔法使いかよふざけんじゃねぇぞクッソッタレが、今度こそズタズタに引き裂いてミンチにして骨も砕いてゲロだか泥だかわけわかんねェオブジェにしてやる」
そこまで叫ぶと完成した魔導具を両手で赤子を持ち上げるように持ちあげ息を整えて見つめた。
「早速コイツを使って適当に先公共を半殺しにしてやるか。アイツはあくまでもメインデッシュ、先公共にはアイツを殺るまでの前菜程度な実験台になってもらおう」
あまりにも外道なことをさらりと言うと、彼は椅子から立ち上がり造ったばかりの魔導具を背負ってドアの前にまで歩き怪しげに笑った。
「さあ、産声をあげな―――『ベルゼブブ』」
同じ頃に窓から学園の惨状の規模を調べる為に外を見ていた男子寮生の一人が、北の反省寮が瞬く間に崩れ落ちて瓦礫となったのを偶然発見した。
その男子寮生の知らせから何があったのかについて男子寮中で騒がれたが実際に何が起こっていたのかについては誰にも理解できず、それは皮肉にも危険な敵勢力が学園を滅ぼしに来たのだという事をようやく自覚させる要因になったのである。
それこそ音速の天使、ゾフィエルが学園という楽園に住み着く神々に堕天使達の反乱を伝えたかのように。
◆ ◆ ◆
「まったく、どうしてヒトって単純で愚かな生き物なのかしらね?」
ゴスロリの服を着ているアイシャドウの濃い黒髪ツインテールの少女は山の上に座って呟いていた。
まるで太陽の光で見えぬ宇宙の星々に向かって話しかけるかのように空を見上げて、キャンディを舌で舐め回しながら続けてこう言った。
「他人は間違っていて自分の正しさや強さが絶対のもの、だなんて馬鹿馬鹿しいことを言い出した挙句の果てに、自分の失敗や責任を全部他人に丸投げして逃げ出すなんて藤波が見たらどんな風にいうのかしら……『それが他人行儀で自分を量ろうとするニンゲンの最大の愚行なのさ』かしらね? ね、どう思う―――」
そこまで言って自分の下にあるものを病的な印象を与える目で見下ろして、それが何を意味しているのかを相手が一番理解できているであろうことをわかっていたが、それでも山に呟いた。
「―――そんなニンゲンに教わった『優等生』のみんな?」
彼女の座っていたのは山の頂ではなく、この学園が誇っていた魔術師の優等生達で出来た重傷者の山だった。
彼女はあろうことか学園の校門から堂々と侵入し、校舎前の駐車場で生徒達と戦っていたのである。
各々が持っていたであろう度重なる努力と自信との結晶たる魔導具は全て彼女の前で原型を留めなくなるまで粉々に砕かれ地面にばらまかれていた。彼らの制服は彼等の血で血塗れになっていて、優等生と呼ばれ教師に持ち上げられていたその生徒達の瞳にはもはや希望の光も生気も残っていなかった。
もはや人間とはいえない何かに成り果てたかつての友人達を心配そうに見下ろして、そんな彼らに話しかける言葉を思いついたのか満面の笑みで彼らの一人の頬をなでた。
「私を虐めた女の子が他に何人かこの中にいたみたいだけど、もう昔のことは気にしなくていいよ。代わりに夢の国への片道切符をポケットに入れて、二度と帰りたいと思えなくしてあげるからね」
彼女に何か言い返そうものならば間違いなく今度こそ殺されてしまう。
そう本能で理解したのか、瀕死の状態で動かなくなってしまっているはずの何人かの体が恐怖で虫がさえずいているかのようにほんのわずかに震えていた。
その動きを感じ取った少女は黒いルージュを引いた唇を舐めると、先程まで舐めていたキャンディを口に咥えて噛み砕き、そのままそっと手でお菓子を掴むかのように旧友に手を伸ばし、そして、
「そのくらいで終わりにしてあげなさい、お嬢ちゃん。あなたにここまでやれとは淳平ちゃんも言ってないんじゃないのかしら?」
背を向けていた車の反対側から聞き覚えのある声を聞いて不快そうに頬を膨らませると、少女は旧友を掴もうとしたその手を放した。
「もーっ、なんでこんないい時に限ってアンタがわざわざ迎えに来るのよ? せっかくいい具合になってきたっていうのに!」
その反応を見て、その声の主はやっぱりそういう事なのかと言うかのように長い長いため息を吐くと、子供のように駄々をこねる少女に車の陰から話しかけた。
「あなたのいい具合は料理でも何にでもドロドロになるまで煮詰めすぎなのよ。初めてその力を淳平ちゃんから頂いた時にあなた何を実験台にしてどんな目に遭ったのか覚えているの? チョコレートを溶かすどころか蒸発させるくらい加減なしに力を使って、それであの子を本気で怒らせて説教されたの忘れたわけじゃないわよね。私達の力はそこで腰が抜けている子達と違って使える力は万能に等しくても有限なのよ」
そう長々と説教した声の主は車の陰から姿を現した。
少女の目の前に現れたのは伊坂に黒森星奈と名乗った美女だった。
「わかっているわ。でもせっかくまともにコントロールできてもその状態を保つ為にこのくらいは使っておかなかったら力を使う感覚が鈍っちゃうんじゃないの?」
「そんなのわざわざこの子達で試さなくってもいいじゃない……そこまで言うのならあの子に伝えておいてもいいかしら? さて、あの子は今回の事であなたにどんな説教をするのかしらね」
それを聞いて顔を蒼ざめると少女は慌てて人間の山から立ち上がり、黒森に走り寄って黒森の両手を自分の両手で包み込んだ。
「わかった、わかったわよ! 私は涼平の言った通りに邪魔しそうな生徒は先に倒しておいたから、ちゃんと作戦には何の問題も起こしてないし反撃されないようにもしたからこれ今バラさないで! そんなことしたら私本当に死んじゃうから!」
黒森は目に涙を潤ませてそう訴える少女に背筋を震わせ、しかしこれ以上は余計だろうと内心で思ったことを抑えると少女の包み込む手を振り払い手を額に当ててやれやれと首を振った。
「いいわよ、さすがにこのくらいはやっておかないと確かに後々面倒な事になりそうだし、そこはバレた後でしっかりフォローしてあげるから」
「ホントに? よかったぁ……」
そう言われて安心したのか、少女は両手を握り合わせて祈るようにしゃがみこむ。
その姿に満足したのか黒森は携帯を取り出して数字ボタンを押した。
しばらくして電話が繋がると、黒森は電話相手に話しかけた。
「あの子はちゃんと見つかったわよ。とりあえず面倒な子達をまとめて一掃してくれたみたいだけど、この後どうする気なの? 下手に学園を壊したらあなたの言う女の子は研究室ごとその瓦礫の下敷きになるのかもしれないのなら、どうして学園の周りや色んな施設を魔術の暴走で聖書のソドムとゴモラ並みに滅ぼしておくのよ? その中にその子が眠っていたのかもしれないんでしょう?」
そこまで言うと電話越しに少年の声が聞こえた。
『……あいつらは学園長の意図に反した実験のためにあの子を使って自分達の研究を完成させる気だ。仮にそれを政府が用意した大規模な施設で行おうにも学園長も政府側もそんな実験に許可を通すわけがないからそう易々と使えない。もしも教師全員がグルでも政府の高官が拝見しに来た時なんかにバレてしまったら元も子もない。学園外にある民家だっていくつかはそう見えるだけの防犯用監視装置だったり何年か前に入ってきたらしい生徒が造った魔術の軍事兵器の倉庫だったりするし、そこだって一応は軍事関連で政府が関わっているんだよ。逆に学園の教師が個人的に新しく買い取った学園外の土地で政府に隠れて実験をしようとするのなら、政府が調査をしに学園に来ても何も問題が無い。特にそれが主犯格の奴が買い取って住んでいる土地ならばなおさら、ね』
「つまり無差別に破壊しているようで、実際は政府が用意した施設や使われたら厄介な施設を直接破壊して回って探す手間を省いていたのね。で、どの辺にいると思うの?」
『ああ、それはね―――』
それに答えた少年の言葉を聞いて、黒森は目を見開いて周りを見渡した。
「え、でもそこだと政府どころか生徒にだって気づくことが出来るんじゃないの? それって学園の中だしそんなに広い範囲で造っていたら業者を呼んだだけでも学園長に知られるんじゃ」
『業者なんて呼ばなくても、学園にはそれを可能にする技術があるじゃないか。人間一人を人柱のようにそこにとどめる事で、いくらでも建築物を補強できる何でもありな技術が。人間さえいれば何でも出来てしまう恐ろしい技術が、ね。さあ、そこへ行くんだ』
それが何を意味するのかに気づいた黒森が何か言おうと口を開くが、その前に電話が切られてしまった。
呆然と立ち尽くす黒森の後ろで、ゴスロリ少女は新しくポシェットから取り出した飴玉を口に咥えて幸せそうに舐めていた。
同じ頃、女子寮の屋上で座って電話をしていた本人である赤と黄色の仮面を被ったローブの少年、藤浪涼平は携帯電話を折りたたんでポケットにしまうと穏やかな表情で目の前にいる少女達に話しかけた。
「鳴谷先輩の敵をとりたいと思うなら、まずは僕に挑戦する事よりもさっさと逃げて生き延びる事のほうが先だと思うんだけどな」
すると少女達のリーダーらしき一人が少年に叫んだ。
「ふざけないで、アンタみたいな自分の欲を優先する悪がいるからこそあの人は殺されたの、悪は正義の前に屈服すればいいのよ!」
それを聞いて苦笑いをした少年は、
「そうかい。でも残念な事に人間っていう生き物は無欲では進歩しないものなのさ。君達の魔導具や知識は何の為に積み上げて造り上げてきたんだい? 何の為に僕を殺そうとするんだい? そう、全ては鳴谷先輩への愛ゆえに。じゃなかったっけ、鳴谷親衛隊のみんな?」
すると鳴谷親衛隊と呼ばれた少女達はそれを当然だと言わんばかりに口々に叫び出した。
「その通りよ、アンタみたいな奴を殺して敵を討つのよ!」
「善は愛され、悪は滅びるべき。それがあの方の最期に私達に残したお言葉よ!」
「あなたという悪は滅びるべき!」
「あなたを滅ばせば、あの方はきっとあの世で喜んでくれるわ!」
「私達はあの方を悪からお守りする為に魔術の力を磨いたの」
「そうすることであの方に喜んで欲しかったから、褒めて欲しかったから私達は毎日努力してきたのよ!」
「それをあなたは全部台無しにして、あ……」
そこまで言って何か自分達の言っている事に違和感を抱いてきたのか、少女達はだんだん口を閉ざしていった。
そして声が完全に静まった後、少年は穏やかな笑みを変えずに話を続けた。
「ほらね? 君らは本当に鳴谷先輩のために戦おうとしているのかな。いや、断じてそうではないと蛇足ながら僕がここで照明しようか! まず、君らは根本的なところで大きな勘違いをしている。君らは実のところ先輩の為じゃなく自分への罪滅ぼしと叶わなくなった自分の恋心のために僕を殺そうとしているのさ」
「違う!絶対に、そんなのじゃ……」
絶対にそうではないと言い返そうとしたリーダーの少女は、しかし少年が次々と言い続ける言葉のメスに自分の心を晒されて少しずつ声に力を失っていく。
「それだけじゃない、他人を殺すという大罪を自分からのこのこと背負いに来て自分の偽善心を満たす為だけに君達の言う悪とやらに身を落とそうとしている! いやぁ、こんなに単純明解でわかりやすい御伽噺の悲劇のヒロイン達はこうもいないだろうね。いや、ヒロインですらないな。ただの使い捨てのモブキャラだね」
「いや、いやぁ。もうこれ以上言わないで……」
「いいや、言うね。結局君達は先輩が恋するほどの」
「「「「もうやめてぇぇぇ!!」」」」
一斉に少年の言葉を拒絶しようと涙を流しながら心からの絶叫を上げるが、少年は悪魔ではなかった。
「……価値が無い存在なのさ」
「あ……」
とうとう心が耐え切れなくなったのか、少女達は魔導具を手から次々と地面にすべり落とし膝をついて何も言わなくなってしまった。
そう、少年は悪魔なのではない。
「あれ、この程度の言葉攻めでもう心が折れちゃうんだ? やっぱり口ゲンカしたことの無いお嬢様だからなのか?」
そう言って残念そうに人指し指を下に振ると、屋上にひびが入りあっという間に少女達を乗せたまま崩れ落ちた。
「さて、流石にこれだけやっておけば学園側も危機感を感じてあれを出してくれるかね? 教師達の灯台下暗しでずっと隠し続けられる余裕さえ無くしてやれば、君の出番は否がおうにもやってくる。その時までじっくりと楽しみに待ってくれよ。―――零音」
彼は死神なのである。
築き上げられた学園の全てを根絶やしに来た、学園を滅ぼそうとする意志を持つ者が、少女達に慈悲など微塵も感じるわけが無かったのだ。
仲間を助けようとする意志。
私怨を果たそうとする意志。
そして誰かのために全てを滅ぼそうとする意志。
それぞれの思惑は混ざり合い、やがて澱み留まり学園をこの世のものではない異界へと変えていく。
その変わり続ける先に何が起こるかなど、変えていく本人達にわかるわけがなかった。
続く
あとがき
こんにちは、小説書くか製図描く時以外はほとんど能天気に行動している伊集院灯架です。
あ、でもテキトーって訳じゃなくて良い♂チ減にやっている方です。
力入れるのは本文の方だけにして、あとがきはかなり楽々な感じに書きますよ。あとがきまで本気になると緊張しすぎて僕が精神的に死ぬんで。
僕は物語ごとにテーマを決めて書こうとする、いわゆる外側から入る凝り性な素人ですが、そんな素人が書いた拙い文章でも大目に見て読んでくだされば幸いです。
今回のテーマは『普通でいるとはどういうことなのか』で、これは僕自身が一番理解に苦しんできたことでもあります。
よく人は十人十色でいろんな個性があるものだという人達でもそれを個性だけに当てはめることが多いのではないのでしょうか。しかし実際は個性がその人の人生経験だけでなく脳の構造そのものに影響していると思わせるようなあります。例えば脳手術後に患者の性格が豹変したという話、人間の性格がDNAで決まるという話など、真偽はどうあれ調べれば数多く存在しています。
さらに脳の障害と呼ばれるもののいくつかは症候群と名づけられているそうですが、産まれてからあるものを病気であるかのように扱っている人達を直に見ていると、僕には普通というものがあたかも正しく美しく優秀な事の証であるかのように解釈し普通でなく優位でない弱い人間を虐げているのを喜んでいるように見えて何故だか許せなくなるのです。
産まれてからある性格や脳の考える働きである思考を個性というのなら、人よりも普通のことが出来ず人よりも何かに優れた力を持ち俗に言う普通では絶対に出来やしないことを成し遂げる人達の全ての特徴は個性と言ってもいいのではないのか、ならばなぜ普通でない事や出来ない事を嘲るのがまかり通りそれを指摘することが嘲笑の対象になってしまうのか。
もちろん普通でないものを見て聞いて面白おかしく思えてしまうことはあれども、それをする人間を否定するような言動は単なる愚行でないか。それは自分が普通であるという事や相手より普通のことが出来るという事で優越感を感じようとする傲慢ではないのかと。
この物語では魔術が出来る事を普通としそれが出来ない人間は嘲笑や差別の対象となる学園が舞台となり、魔術に関する知識も技術も無い少年が主人公として行動します。
正義の味方として彼がこれからどんな普通の壁にぶつかるのか、そしてどんな個性を持った人物と出会い戦う事になるのか。
それについては血反吐を吐いてでも責任を持って、一人の人間として書き上げます。
そんなわけでこれからも文芸部と『神敵』をこれからも温かい目で見守ってください。ついでにできたら冊子を立ち読みしないで「おっ持ち帰りぃぃ!」してください。している人がいるか知りませんけど。
追伸
えーっと、前回のあとがきは精神的に病みすぎている状態で書き上げたものなので忘れてください。先生原稿全否定するのはもう止めてぇ!僕のライフポイントはゼ(トラウマ)