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 私は独りぼっちだ。一年前までは違ったけれど、今は独りで給食を食べ、絵を書き、家に帰れる時はまだかまだかと待ち続けている。私はそんな日々を過ごしている自分が嫌だった。だから私はその日々に耐えられなくなり学校に行くのをやめた。

 私の住んでいるところは、ど田舎の村で働く場所が畑や田んぼしかないという辺境だ。今、小さい農業はどうしても家族を養うお金を稼ぐことが出来ない。そのため、若い夫婦は子供を連れてどんどん都会へと渡って行った。

 でも、私の家庭は他の近所に比べると大きい田んぼを持ち更に、一人っ子のため、お金がかからず都会に行く必要が無い。だから私の仲良くしていた子達を追いかけることも出来ずに残され、学校にいるのは年の離れた上級生のみとなって私の居場所はなくなった。

 

 私は村に唯一ある家から歩いて数時間かかるスーパーへ買い物しに行った。家に居続けるのはあまり好きではないし学校へ行っていないのだから何か家族の手伝いをしたかったからだ。

 スーパーにはいつもこの場所を井戸端会議に使っている主婦の人たちが何やら話し込んでいた。

「ねぇ、知ってる? 今日、照屋の家にお隣りさんが引っ越して来るんですって」

 私は、そのことを聞き足を止めた。どうやら私の家の隣に誰かがやってくるらしい。

「高尾の家のところに?」

「そうそう、あそこ。どうやら高尾さんの親戚の人らしいわ」

 私はそれを聞き驚いた。どうやら今は都会に行ったため空家になった亜紀子ちゃんの家に人が来るのだ。私は胸を躍らせた。

「一体、こんな辺鄙な村に来てどうするのかしらねぇ」

 私はそれを聞いたことでこの喜びを他の人に知ってもらいたく買い物してる途中だというのを忘れてお母さんの待つ家へと走った。

 

 家の前につくと隣の亜希子ちゃんの家には知らない車が停っていた。もしかしたらもう来たのかもしれない。私はそう思い、高尾と書かれた家に入る。亜紀子ちゃんがいなくなってから、鍵が閉まっていたが今日は開いていた。

 中は昔と変わらず綺麗なものだった。それどころかワックスをかけたのか光が反射していて、掃除をされていたことが分かった。

 やっぱ新しい人が来たんだと私は新しい友達との出会いを予感させていた。

 どたどたと私は廊下を走り手当りしだいに引き戸を開け人がいないのを確認し、次のドアを開ける。

「誰かいるのかい?」

 弱々しい若い男の人の声が聞こえた。それを聞き私は我を取り戻した。確かに私のやってることは不法侵入で不審者極まりない。私は反省しごめんなさいと声のした方向に言った。

「女の子?」

 その弱々しくぎりぎり聞こえるくらいの小言をつき、スゥーと引き戸を引く音ともに奥の部屋から身長百七十くらいの人が出てきた。

「なんのようかな?」

 ドタドタと他人の家を勝手に走った私に何のお咎めなしで優しめの声で言った。そんな優しく声をかけられ、私はあっけにとられそのあとあたふたし口篭った。そんな姿を見てニッコリと微笑み口を開いた。

「もしかして香代ちゃんかな? 間違ってたらごめん」

 自分の名前を呼ばれてなぜ私の名前を知ってるのだろうと驚き小さくはいと答え頷いた。

「そうか、やっぱりそうだったか。いやね亜紀子ちゃんからいろいろ聞いてるよ」

 そう言い微笑んだ。亜紀子ちゃんがどうやら私のことを彼に教えたらしい。私はすこしの恥ずかしさと嬉しさを感じていた。

「んー、立ってるのもなんだからこっちおいで」

 彼は、そう言い亜紀子ちゃんとよく遊んだリビングへと案内した。

 リビングには机と椅子しかなく他には何も置いていなかった。昔はいろいろと遊び道具やらで賑やかだったが今となってはその面影は感じず寂しくなっていた。

「お茶は飲めるかな?」

 彼は微笑みながら言う、なんとも笑みが絶えない人だなと思い話半分で頷いた。彼はその反応を見てキッチンの方へ行く、お茶のいい匂いがこっちまで来てまもなく、ポットの給水の音を後にお茶を二つ持った彼が現れ、私にお茶を一つ差し出し座った。私はお茶をすぐに啜った。普段あまり人見知りをしない私だが今はとても緊張している。だから喉が乾いていたのだ。少し沈黙が続いた。

「えーと、あいさつがまだだったね。僕は高尾一弥、亜紀子ちゃんの従姉弟だよ」

 私はその言葉にへぇと簡潔に答えた。正直私はこんな年上の若い男の人とは話したことがなかったので、とてもまともな答えが返せなかった。でも、なんとか話を続けようとここに来た理由を聞くことにした。

「ここに何しに来たんですか」

 ちょっと強めの声だったため彼は驚いた顔をした。私はそれをみてとんでもなく失礼な聞き方をしてしまったことに気づき赤面させ、ごめんなさいと言い俯く。それに対して彼は微笑みというより笑った顔になった。

「あはは、いいんだよ。他所者の僕があまり歓迎されていないことは知っていたから、でもちょっとショックだったかなぁ亜紀子ちゃんのお友達の香代ちゃんにもそんな風に思われていなんてね」

 彼は冗談で口を尖らせそう言った。私はそれを聞きこの人はやっぱりいい人なんだなと再確認した。それを機に私の中で仲良くなりたいと思い始めていた気持ちが生まれ始めた。だから私は質問する。

「じゃあ、ここに来た理由は――

 

 あれから数時間経っていた。あれからずっと話し込んで私と彼の距離はぐっと近づき、私は本来の私のように明るく接することができるようになっていた。話が一段落した頃。

「もうこんな時間だ。香代ちゃんは帰らなくて大丈夫?」

 彼はそんなことを言った。私はそれを聞き、お買い物をしてないことに気がついた。でもこれからスーパーに行くのは時間がかかる。私はどうしようと呟いた。

「どうしたの、何かあった?」

 彼はそんな私の顔を覗き、そう尋ねた。私は一人では解決策が思いつかないであろうと思い買い物を忘れたことを話した。

「そうかそれなら家で食べないかい?」

 彼はそう言い、もちろんお母さんに謝ってお母さん達と一緒に来てねと付け加えた。私としては彼ともう少しいたいのでとてもそれは魅力的な提案のように思えた。

 

 家のドアをゆっくり開ける。やはりおつかいが出来なかった私自信に自責を抱いていたからいつものように元気よくドアを開けることは出来なかった。

 そっとドアを開けたためかお母さんは何も言ってこない。

 リビングのほうから二人の女の人の声が聞こえる。片方はお母さんだ。もう片方は聞いたことがあるが思い出せない。私はもう一人の女の人の正体が知りたくなり、リビングへと向かい。ただいまと言った。するとそこにはお母さんと亜希子ちゃんのお母さんがいた。

 先に亜希子ちゃんのお母さんが気づき久しぶりと言ってきた。私もそれに対して挨拶をし軽い会釈をした。

「あらおかえり、遅かったわね。買い物は?」

 怒っているようには見えない。お買い物をしてこなかったとは思ってもいないのだろう。

「あの、ごめんなさい。買ってきませんでした」

 私はそう言い頭を下げ、ちらりと見るとお母さんは驚いた顔になりふぅと息をついた。

「そうなの? でもちょうどいいわ今高尾さんの家で食べることになったのよ」

 私は怒られると覚悟していたが、それを聞きホッと息を着いた。

 

 お母さんに連れられ、亜紀子ちゃんの家に入る。いやもう一弥さんの家かと心の中で思った。

「おかえりなさい、おばさん」

 その一弥さんが玄関で迎えた。私はこのことをあまり予想にしてなく驚いた。

「あら、お迎えなんて気が利くわね。それにいい匂いねもしかしてご飯作ったのかしら」

 おばさんは一弥さんにそう聞く。確かにいい匂いがここまで漂っている。彼は疑問を顔に浮かばせて、私に目配りをしてきた。どうやら彼は私が彼の家で食べることを提案したと思ってるらしい。だから私は首を振った。すると、一弥さんは理解してくれたようで、ニッコリと笑い言った。

「お客さんですか? ちょうど良かった今回多めに作ってしまって、どうぞ食べてってください」

「あら? 一弥くんにしては以外だわ。多めに作るなんて」

 おばさんは目を丸くした。いつもは多めに作るなんてことはしないのだろう。一弥さんはどうやら私と会っていたことを秘密にしているらしい。別に話してもいいのに私はそう思った。

「ささ、照屋さん上がって」

 おばさんはお母さんを促しリビングへと向かっていった。そのため私と一弥さんが残り、一弥さんが耳元に口を近づかせ言った。

「もしかして、言っても良かった?僕たちがさっき会っていたこと」

 私はうんと言い頷いた。一弥はあちゃーと額に手を当てた。

「まぁ仕方ないか、じゃあ行こう。今回の夕飯は豪華だよ」

 

 このあと、一弥さんの紹介と私と一弥さんがさっきまで会っていたことが話され、おばさんはなるほどと納得していた。こうして夕飯は終わった。

 

 

 

 あれから私は一弥さんの家へとよく行くようになった。一弥さんの家にいたおばさんはもう東京の家へと帰り、となりに住んでいるのは一弥さんだけとなった。一弥さんはいつも私の話し相手になってくれ、私はいままで学校へ行ってた時よりも何倍も楽しく感じていた。

 でもその楽しみはすぐに終わることとなった。

 

 

 

「でねでね、その犬がね」

 私はいつものように最近あったことを一弥さんに話していた。彼はどんなくだらない話でもうんうんと頷き笑ってくれた。私はそんな一弥さんが好きだった。でも今日はどうも顔が悪い。

「ねぇ、大丈夫?」

 私はそんな彼が心配だったので尋ねた。すると一弥さんは無理に笑ってみせた。虚勢を張った。

「大丈夫だよ。香代ちゃんが心配することはないよ」

 私はそう言われて少し不満を感じた。いつも気を使ってくれる彼だがなぜか距離を感じない。そんな彼に今距離を感じたからだ。

「大丈夫なわけないよ! だって顔悪いじゃない!」

 私はついつい大きな声を出してしまった。声を大きくするほど怒っているわけではないのにだ。そんな私に彼は驚き唇を噛みうつむいてしまった。私はそんな姿の彼を見て後悔を抱く。

「ごめんなさい、そんなつもりじゃ……

 彼は顔を上げいつもの笑顔を浮かべた。でも私には心の底からの笑みのように見えた。

「分かってるよ。僕は香代ちゃんにこんなにも心配されていたんだなぁと思って、嬉しくて……

 そう言い彼は涙をポロポロと落とす。そして顔をぐしゃぐしゃにして、潤み声を上げた。今なら彼の顔色が悪い理由がわかると思った。でも、私もなぜかもらい泣きをしてしまったためうまく声にならなかった。それでも私は尋ねる。

「なんで、そんなにも辛そうなの?」

 言葉になっていたか怪しい。そんな涙声でかすれた言葉だった。その必死さが通じたのか彼は、遂に口を開いた。

「薄々は感じていたかもしれないが、僕病気なんだ。しかもとても重いね。今日話そうと思ってたんだけどね。どうも僕、臆病で香代ちゃんにこんな話しをして君の笑顔が見れなくなるのが嫌で……ごめんね」

 彼はどうやら私が悲しまないようにと気を使って話さなかったのだ。私は涙を堪えて笑ってみせた。

「私は、泣かないよ。一弥さんを悲しませたくないもの」

 それは私のすべての気持ちでその気持ちを出しきったせいか涙がボロボロと流れ、ついには耐えられなくなりうわんうわん泣き始めた。

「ありがとう。ありがとう」

 彼も涙声になりながら、そう感謝を何度も口にした。

 

 

 

 一年が経った。一弥さんは半年前に息を引き取った。ここに来た理由は静かな場所と綺麗な空気が吸いたかったことらしい。都会にはいい医者がいるとかいろいろ勧められたらしいが彼はどうせ治らないなら無理に延命したくはないしお金がかかるからと言って断ったらしい。

「行ってきます」

 私はあれから学校へと行くようになった。これは一弥さんのおかげだと思う。私に歳上と仲良くなる方法を教えてくれ、私は上級生の人ともそして全然私より歳の離れた人とも仲良く出来るような力をくれたのだ。

 だからこの頃は毎日が楽しい。

 私はいつも楽しいと感じたら一弥さんに、私の初恋の人に、こう心で唱えるのだ。

 ありがとうと       

 

 

 

                          〜おわり〜 

 

 

 

 あとがき

 

 どもどもお久しぶりです。Mu-Mu(むーむ)です。

 この頃どうも原稿が期限以内にかけず出せませんでした。すみません。もう少し早く執筆出来るようになりたいものです。精進します。

 

 さて今回の作品ですが、今回のテーマは純愛です。これは案がどうやっても浮かんで来ないので友人にテーマくれと言った結果です。ええ後悔してませんとも。

 では少し内容に

 えっ? 全然純愛じゃないって? 確かにこれ純愛じゃない気がします。自分的にはこうゆう淡い感じが純愛なのかなぁとか思ったのですが、やっぱりこれ純愛にはなってないのですかねぇ?

 そして歳のことについてです。

 これはあえて触れませんでした。なぜかっていうと、歳というのは想像を狭めてしまい、その人を拘束してしまうから今作品はそうでなくても拘束しがちなだったので、ならあまり物語に関係ない歳の想像範囲を広げようと思った次第です。

 ですから、読者様には一弥が二十くらいに見えたかもしれませんし、はたまた十七くらいの青年にも見えるかも知れません。これは読者様それぞれの想像しやすいように想い別の解釈をしてくれると嬉しかったりします。他にも主人公の歳とかも重要ですね。歳が離れているのは確かなのですがどれくらいなのか三くらいかそれとも六かはたまた十か、それも楽しみになるかなとか思ってみます。

 では伝えたかったことをちょっと

 この作品は純愛(笑)ですが、それ以前に歳上との溝という部分です。自分はどうも歳上というのには抵抗を感じますが、皆様はどうでしょう? 同じ感性を持っているからさほど感じない? ずっと一緒にいるから感じない? そもそも歳なんて関係ない?

 結構なことだと思います。歳上だからと言って抵抗ばかり感じてはいけない。確かにその通りです。抵抗を感じては結局すれ違うばかりです。歳上は同年代よりおおいのですから、抵抗を感じ視野を狭めひき篭るのは勿体ないと思います。この主人公のように歳上の人と仲良くしてみるといろいろと自分の世界は変わってくると自分は思います。

 

 ここまでお読み頂き有難う御座います。まだ文学の能力も発展途上ですがどうか見守ってください。

 

 では、また会える日を。

 

 

 

 

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